第59回秋季栃木県高等学校野球大会 (平成18年度 参加62校)

橋本 矢板東を完封
 4番、エースの橋本の投打に渡る活躍で、新チームの公式戦初勝利を収めた。
 鹿高は初回、死球と内野安打で作った1死1・3塁のチャンスに、4番橋本が右中間を破るタイムリー二塁打で先制。幸先の良いスタートを切った。
 エース橋本は、7回まで散発5安打に抑える好投。ストライクが先行し、常に投手有利のカウントで攻めていたのが好投の原因であろう。打たれたヒットも2死からで、安心して見ていられた。角度のある直球に、相手打者は打ちづらそうであった。
 唯一のピンチは8回。2死2塁から3遊間を破る安打を打たれたが、中継プレイで7−5−6と送り、3塁をオーバーランした2塁走者を刺した。ここでは、ショートの山田の機転を利かせたプレイが光った。外野からの返球のカットに入ったあと、次のプレイを予測して3塁ベースカバーに入っていた。

 一方、攻撃では、6回の1死3塁、8回の1死2・3塁で得点できなかったところが反省点であろう。中押し、ダメ押しが欲しい場面であった。追加点が取れない嫌な展開になり、それが、終盤のピンチを呼んだ形になってしまった。
 相手投手は右下手投げの変則投手。鹿高の各打者は、下手からの遅いカーブと、横手気味から投げるストレートとの緩急をつけたピッチングに「打たされて」しまっていた。遅い球を待っているときに速い球に対応するのは難しい。自分はどの球を待つのか、各自がきっちりと意識して打席に立つことが必要であろう。そして、打たされるのではなく自分から強くボールを叩きに行くことが、安打やミスを呼ぶ打球につながるものと思う。
 また、投手のモーションがカーブとストレートで違っていたことに、ベンチの控え選手は気付いていただろうか。野球は、試合に出ている9人だけで戦うゲームではない。ベンチ、スタンドも含めて戦うゲームである。控え選手には控え選手の役割があるはず。声を出して、応援するだけでなく、勝ちにつながるようなサポートをしていって欲しい。
 
次の相手は、第8シードの宇工。名前負けすることなく、自分達の培ってきた力を出して欲しいと思う。

 なお、宇都宮(齋藤忠部長)は、シードの國學院栃木を7−5で破って2回戦に駒を進めた。
1回戦
矢板東
鹿沼 ×
 橋本−高田
 二塁打:橋本(2)   写真はこちら
シード宇工にコールド勝ち 橋本は2試合連続完封
 シード宇工を橋本が完封。攻撃では、安打や相手守備陣の乱れで得たチャンスを確実にものにし、スクイズやタイムリーヒットで着実に得点。コールド勝ちを収めた。

 相手は、1回戦不戦勝のため初戦。鹿高は2試合目なので、精神的な余裕があったのだろう。
次の相手は宇南。決して奢ることなく、謙虚に、しかし、勝とうという強い気持ちを持って試合に臨んで欲しいと思う。

 なお、宇都宮高も栃商を8−1の7回コールドで破り、3回戦に進んだ。  
 
2回戦
鹿沼    
宇工    

  橋本−高田
  三塁打:大塚
  二塁打:大橋 
序盤の失点が響き 宇南に破れる
 2回戦でシード宇工を倒した勢いに乗って、宇南を破ってベスト8入りを果たしたかった鹿高だが、その夢は叶わなかった。橋本は水曜日の登板の疲れが残っていたのか、コントロール、球の切れに精彩を欠き、5回で12安打を浴びて9失点。救援した1年生神山も3点を失い、12−0の大差でコールド負けを喫した。
 初回、先頭打者への初球は高くはずれるボール。2球目にストライクを取りにいったところを痛打され、左越えの3塁打。続く2番には高めの直球を詰まりながらも左前に運ばれた。そして2死2塁から、5番に三遊間を破られて2点目を奪われた。打たれたのは高めの直球。この回は、カーブのあとの直球が浮いたところを狙われた。
 その裏、2死からヒットと死球で2死1・2塁としたが、後続が倒れて無得点。ここで1点でも入っていれば流れも違っただろう。
 2回は7番への四球から始まった。8番が送って1死2塁から、9番にゴロで抜ける中前安打を許すと、1番への四球をはさみ右前打、投手足元をボテボテと抜ける2塁内野安打、フェンス直撃の右越え二塁打、左中間3塁打とたたみかけられ、一挙6点を失った。いずれもカーブでカウントを悪くし、ストライクを欲しがって投じた球をはじき返された。
 5回には2死2塁から右前打で1点。宇南は、ヒット9本で9得点という効率の良い攻めであった。
 6回から替わった1年生の神山は6回を3者凡退で切り抜けた。しかし、7回につかまり、2本の3塁打に内野のエラーもからんで3失点であった。
 一方鹿高の攻撃は、相手の右横手投げ投手に散発3安打(内野安打1)に押さえ込まれた。3回には、安打、内野エラー、四球で2死満塁と攻めたが後続が断たれた。この試合、ヒット以外で外野に飛んだ打球は4番橋本の中飛1本だけ。あとは「ゴキッ」「ガキッ」・・・ バットが折れそうな内野ゴロの山であった。この冬に振り込んで、今日のようなことにならないように練習を重ねて欲しいと思う。
 バッテリーについては、カーブと直球のコンビネーション、勝負球の選択など、投球の組み立てについて勉強しなければならない課題がたくさん見つかった試合であった。スタンドからは、追い込んでからの勝負球が甘く入ったように見えた。宇南のようなチームには、ストライクで勝負しなくてもよいカウントで、甘いコースへストレートを置きに行ったら打たれることがわかったと思う。あえてボール球で打ち取るような図太さをこれから身に付けていって欲しいものである。

 
 厳しいことも書いてきたが、シードを破っての3回戦進出は立派である。中学時代に経験のないポジションについている選手も多く、まだまだ学ぶべきことも多いはずである。大会で学んだこと、課題だと感じたことをこれからの練習に生かし、来春には一回りも二回りも大きくなってくれることを期待している。OBの皆さんも、グランドに足を運び、現役の指導にあたっていただきたい。
 なお、今シーズンより、昭和35年卒の原昭氏が、トレーナーとして月に数回、選手の面倒を見て下さっていることを付け加えておく。


 宇都宮高校は、2点を先行したものの、後半逆転を許し5−3で真岡高校に破れた。 
3回戦
宇南     12
鹿沼     

  橋本(5回)、神山(2回) − 高田